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今日、ご紹介するのはPete Dunaway ピート・ダナウェイ(ブラジル人がそのまま読むとペチ・ドゥナワイ)という人です。
ロックのコンサートやレコードよりは、TVや映画の音楽で育った僕としては、海外の音楽家でもまずは、TVや映画の世界で活躍していた作曲家に惹かれてしまう傾向があります。
ピート・ダナウェイは本名はオターヴィオ・アウグスト。サンパウロ出身の作曲家、アレンジャー、キーボード奏者、ギター奏者、歌手で、70年代に数々のTVノヴェラに曲を書いています。
オターヴィオがピート・ダナウェイという英語名を名乗っていた理由は、たぶん彼が英語の歌を得意としていたからだと思います。
北米文化が大量に輸入されていた70年代のブラジルでは(軍事政権下、意図的に北米寄りのマーケットが作られていた部分も大きかったと思います)、洋楽も大量に輸入していましたが、そんな洋楽に対抗して、英語の歌や北米音楽風の演奏をしたレコードも数多く作られていました。
ピート・ダナウェイことオターヴィオ・アウグストは、そんな時代に活躍した音楽家のひとり、というわけです。

TVトゥピで1973年に放映された「ホーザ・ドス・ヴェントス」(写真右)というノヴェラのサントラもオターヴィオがプロデュースを手がけています。
チン・マイア、トリオ・テルヌーラ、ハウウ・セイシャス、アンクル・ジャック(ファビオ・ジュニオール)など国内アーティストが参加していると同時に、タヴァレスやデルフォニックスなど北米のソウルが収録されています。
歌手としてもピート・ダナウェイ名義参加。ニューロックっぽい感じ(?)の曲を歌っています。
他にも「ベウ・アミ」(72年、TVトゥピ)、「オス・イノセンチス」(74年、TVトゥピ)、「クーカ・レガウ」(75、TVグローボ)などのサントラに参加。
TVグローボでは「ジョルナウ・オージ」という今も続いているニュース番組の、初代オープニングテーマ曲も手がけています。
レコード・ディレクターとしてもジョーヴェン・グアルダ、ソウル系の作品で活躍していますが、セッション・シンガーとしては、国内外のヒット曲を歌いまくるコーラス・グループ、ブラジリアン・シンガーズにも参加していたようです。
そんな彼が74年、ピート・ダナウェイ名義でソン・リヴリに残したたぶんファースト・アルバムが「ピート・ダナウェイ」(写真左)。
当時の北米の音楽の影響丸出しな作品で、サンパウロ解釈によるウエストコースト・サウンド、といった趣です。ドリーミィなフォーク・ロックもあります。
その中に、ファンキーなナンバーが2曲。「ジャスト・ア・マン」と「スーパーマーケット」。
特に後者は去年〜今年にかけてジャイルス・ピーターソンがラジオでかけて有名になっていますが、リズムは弾みまくり、メロディも切ない感じの名曲です。
ピートがイギリスで人気が出るのは、なんだか判るような気がします。70年代前半にはやはりイギリスでも、ウエストコースト・サウンドやソウル・ミュージックをはじめ北米の音楽に憧れた音楽に取組んでいた、ピートと同じような志向を持った音楽の大好きなバンドたちが街にたくさんいましたから。いわゆるパブ・ロックと称される音楽ですね。ココモとか。
なんだか、憧れつつも本場とはちょっと違う感じも孕みつつ、でもそんな音楽が好きで好きでたまらなくてやっちゃってる感、という点で、ピートの音楽と当時のロンドンの下町ファンキー・ミュージックは、合い通じるものがあるような気がします。
じゃあ東京の70年代は? と考えると、「ジャスト・ア・マン」は柳ジョージっぽく聴こえてきたりもします。
もちろん、ロンドンはロンドン流の、東京は東京流の、サンパウロはサンパウロ流の解釈があるはずなので通じ合う空気があるというだけで、ノリはまた別なんですけど。そんなわけでピートの「スーパーマーケット」は紛れもないサンパウロ流ソウルなんじゃないかなと思います。
Soul Brasileiro ソウル・ブラジレイロ #2/麻生雅人(2008年7月8日)
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