ブラジルのソウル・ミュージック系のレコードをご紹介していこうと思います。できたら、今のブラジル音楽とのつながりも含めて紹介していけたらな、と思っています。

第一回は、最初からディープすぎるのもな、と思ったので、有名曲を取り上げることにします。Marcio Lott(マルシオ・ロットかマルシオ・ロッチ。ここではロッチにしておきます)が歌う"Tema de Baby(テーマ・ヂ・ベイビー)"。盛り上がり間違いなしのわくわくファンキー曲です。

この曲は、タペカールという大手のレーベルからシングルで発売されていますが、ジョシ・バラダゥン監督の『O Mau Carater(ウ・マウ・カラテール)』(74年)という映画の挿入曲として作られています。

ブラジル音源のコンピLP『Via Brazil 2』(これって、おそらくブートだと思うんですが...)に収録されていたこともあって古くから知られている曲ですが、最近、DJ FUMIYAさんのミックスCD『JAZZ CRYSTAL -WORLD OF MUSIC-』にも収録されていました。実は僕も、CSで放送しているブラジル音楽/文化を紹介する専門番組『ブラジル大作戦』で勝手にオープニング曲として使わせていただいています。

作者はベト・ストラーダとエイヂ・ゴメス。
ベト・ストラーダは映画の劇伴やTVのジングルなどでしられる作曲家、アレンジャーです。76年には『バカリャウ(たら)』(ジャケットから想像するに、ジョーズのパロディ映画?)という映画の音楽も手がけていますが、このサントラ盤もグルーヴィなラウンジ・アルバムです。ファンキーな曲もあります。
ブラジルにも劇伴作曲家は数多くいますから、ちゃんと調べていくともっともっとグルーヴィなレコードがざくざく見つかるんじゃないかと思っています。

アレンジの感触は、なんとなくデオダートの名曲「アハンニャ・セウ」(『デオダート2』ではなく、オス・カテゴラーチコス名義の『オス・カテゴラーチコス73』収録ヴァージョン)に近いなー、と思っていたのですが、制作はデオダートの直後っぽいし、もしかしたら意識していたりして。

歌っているマルシオ・ロッチ。この人は主にセッションで活躍しているシンガー。小野リサさんのアルバムをはじめ、数多くの作品に参加しています。

中でもアジムス(アジムチ)との縁は深く、ファースト・アルバム『Azimuth』(74年)で、「リンニャ・ド・オリゾンチ」を歌っていたのもマルシオ。以降、アジムス作品にはよく顔を出しています。

アジムスは90年代半ば以降にオリジナル・メンバーで復活していますが、復活後の作品でのマルシオの活躍度は結構、高い気がします。現在、アジムスの作品をリリースしているイギリスのFar Outレーベルの首領ジョー・デイヴィスは、ブラジルのレコードのコレクターとしても名を馳せた男ですから、彼もまた"Tema de Baby(テーマ・ヂ・ベイビー)"でのマルシオのヴォーカルが大好きで、Far Outでのアジムス作品でも大きくフィーチュアしているのかもしれません。

Far Outから出る、アジムスのベース奏者アレックス・マリェイロスの娘サブリナ・マリェイロスによる2作目のソロ・アルバム『ニュー・モーニング』でも、マルシオは活躍しています。

Soul Brasileiro ソウル・ブラジレイロ #1/麻生雅人(2008年6月9日)